籠の城

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籠の城、見てきました。


もう、この芝居好きすぎて。


私が普段からやいのやいの言ってる東京シュール5プラスαでやってる公演で


(プラスαつっても毎回出てるかたつむりなのでほぼシュール5のみです)


脚本も演出もシュール5の中の人がやってます。



てわけで以下あらすじ。







ある日、一人の男が目を覚ますと記憶喪失になっていた。


目覚めた場所は城壁にかこまれ、支配する側とされる側に分かれ生活する町。


される側はそこを籠と呼び、する側は城と呼んでいて、男は籠側だと教えられる。


生活のすべて、トイレの時間すら命令で決められていることに違和感を覚えるが、


徐々に慣れていく。


だがある日、城側の人間の部屋で壁の外の世界を書いた旅行記を見付け、


全てが変わりだす―――。





ここまであらすじ書いて、全部は到底まとめられんと断念。登場人物の名前だけ書いときますね…。


籠側→ウミネコ(記憶喪失の男)、ヤマシギ、モズ、ヤツガシラ


城側→伝達、監視、評価、刑罰




テーマは『人として生きるとは』ということだと思います。


何一つ自分の意志で決めず、それに疑いを持たない籠側の人間。


彼らは実は出ようと思えばいつでも町から出ていけたのに、


出れない、出られないようにされてると思い込んで留まっていただけなんです。


また、この町では強く思い込むと想像の中の物が現実に表れる。


城壁には自分達を閉じ込める為のあるはずのない扉と鍵が見え、


空砲で撃たれても仮死状態になってしまうんです。


『自分の思い込みで身動きができない』という状況が個人的に痛すぎました。




ヤツガシラが自分の意志で行動した結果城側に処分されるシーンがあって、


そのあとの籠側三人のシーンが良かった!




ヤマシギとモズは最初ヤツガシラの死に衝撃を受けるんですが、


あいつがバカだったんだ、逆らったりするからだと納得しようとするんです。


でもそこでウミネコだけが憤りを爆発させる。


自分の意志で、やりたいようにやったヤツガシラに何の罪があるんだ!と。


外の世界じゃそんなの当たり前だって旅行記には書いてあったのに!と。


二人は本当はどう思ってるのか、


規則がどうとかではなくて二人は本当はどうしたいのか


それを聞かせてほしいんだ!と。


そのあとのヤマシギの「俺だって外が見たいよ!」に胸が苦しくて。


ヤマシギはそれまで、ウミネコに対して支配される生活を


一番納得させようとしてたキャラクターだったんですね。


そんなヤマシギ自身が無理矢理この生活に納得しようとしてたってところにも、


それを己で認められたっていう成長にも、涙腺が刺激されてされて。


籠側はとにかく演者がみんな上手くて、揺さ振られっぱなしでした。




また、いざ町を出られる道に来たときのやりとりもたまらなかったです。


モズが「やっぱり俺は行かない。外が怖い。」と言いだして、


ヤマシギは強引に一緒に連れていこうとするんだけど、


ウミネコはヤマシギを止めるんです。


ここで無理に連れていってもそれは結局命令だ、


自分の意志で残るのであればそれはそれでいいんだ、と。


もうここで心の中で号泣でした。


徹底して「自分の思う通りに生きることが大事だ」ということを突き付けてるから。


考えてみたら、思い込みで出てくる鍵や扉も意志の産物なわけで、


心が全てを形づくるんだよ、というメッセージのような気がします。




かたつむり・林があんなにいい役者だとは知らなくて、本当に感心しました。


一番モズに感情移入しちゃったかもなー。自分も強くないので。




それにしても、メッセージがアナログフィッシュを彷彿とさせたのですが、この脚本家はもしやアナログファンなのか!


確かトークライブのSEでアナログを使ってたはず。もしやもしや。くくく。
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