ああ 君がいた頃のことを思わない

マンボウやしろ告別ショー2012 『ピザババアの唄』を見てきました。
相変わらず、いや今まで以上の濃密な空間で息が出来なくなりそうでした。
多分そのせいで頭がずーっと痛かった2日間。


 
幼少時代にお兄ちゃんと引き離され、
少女時代に好きな人から拒絶され、
OL時代に自分の身勝手さで大切な人を失い、
こじれた時代に自分の描いた理想を実現させようとして好きな人を壊してしまい、
ババア時代にやっと死ねるはずだったのに死ねないで妖怪になって、
百鬼夜行で仲間と一緒で一番幸せな時代を経験して、
だけど結局一人になって「なんで生まれてきたの」と慟哭する。
そんなピザババアの物語。
 
最初はただただ“ピザババアの一生”として受け止めて、今回のテーマであろう「さよならだけの人生だ!出逢いだけの人生だ!」というのがぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるして、それだけを解散とダブらせて観てしまった。
落ち着いてもう一度観たら、特に愛の百鬼夜行時代はメタファーにしか見えなかった。
危ないと言われながら海の中をどんどん進んで楽しくなっちゃうピザババアと、「俺はずっとここ(陸)にいたよ」「家族のもとに帰る」と呼びかけるネクハゲ。
ネクハゲが去った後にピザババアが言う。「こんなに暗かった?」と。
今年のやしろさんの単独でこのシーンが何を意味するのか、考えないやしろファンはいないと思う。
 
だけどその後ピザババアは龍が登ったのを見た。
「始まる」と言った。
私は、始まったものを見続けたいと思った。
だからまた来年やりたいと言ってくれたことが本当に嬉しかった。
 
“ああ 君が居た頃のことを思わない
僕はひとりで生きることを学ぶさと思いながら”(夢が夢なら / 小沢健二